CENTRAL Photo Contest 2020 総評

フォトコン2020バナー

セントラル画材が自信を持って推奨する「ドイツが生んだ最高級インクジェット用紙/ハーネミューレ紙」は、色と質感の再現性が高く作品の魅力を引き出します。
現在プロからアマチュアカメラマンまで幅広く支持されているハーネミューレ紙のクオリティーの高さを是非この機会にご実感ください。受賞・入選作品の制作では、9種類のハーネミューレ紙と4種類の額縁よりお選びいただけます。ご自身のイメージに合わせて展示作品を仕上げることができる新しい形の写真公募展です。

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受賞・入選 作品

HP出_グランプリ_Peter Bakelaar_Face Time

グランプリ [Face Time]

Peter Bakelaar 様

【受賞者コメント】
まずは、このような素晴らしい機会が与えられましたことに感謝を表したいと思います。
セントラル画材様の高い品質とプロフェッショナルな働きには、いつも助けられてきました。
貴社が私の展覧会のために制作してくださった写真プリントは、いつ見ても惚れ惚れいたします。
私はアーティストとして明確なビジョンがあり思い描いているものがありますが、セントラル画材様は私の期待を遥かに超えて、素晴らしい力添えをしてくださいました。
白黒も多彩も色調のバランスがとれていて、元の作品に忠実に仕上げてくださいました。
今回のコンテストにおいてグランプリに選ばれましたことは、誠に光栄の至りでございます。
この作品をご覧になった方がアートを楽しみ、インスピレーションを受けられるようにと願っています。
デザインの観察、そして探求と好奇心が私の写真撮影の原動力です。
対称性とバランスには特色があり、私は興味をそそられます。
ここ数年、対称的な写真を扱ってきましたが自然界に見られる折り畳みと重ね合わせの模様は、さまざまな画像を組み合わせたときに見出すことのできる、嬉しい「偶然」へと導いてくれました。
私はまた、 ポートレート写真も好きです。模様やポートレートを試してみると、興味のある2つの要素を1つの写真にまとめることができました。模様は、私たちの周囲にあります。
この世界に存在する形や線、デザインたちは、創造的な探求と発見に続く無限大の可能性を示してくれます。
この写真は、私たちをさらなる体験へと誘い、創造された自然の中に在るものへの好奇心を刺激することを目的としています。
この写真は現実から新しい領域の探索と調査への旅を表しています。
異なる模様の繰り返しと重ね合わせは、入り組んだ複雑さを明らかにしています。
これらの画像はこの現実世界に関連しているだけでなく、私たちの想像力をさらに引き込み、新しい見方を促します。
私たちの周りの模様をクリエイティブに観察し、影響され試みることは新しいイメージを作成するのと同様に、まだ探求されていない可能性へと背中を押してくれるのです。
私の旅を共に分かち合ってくださり、ありがとうございました。

【審査員より】
<吉田 宗義 様>
このコンテストはひとり1作品。1枚の”作品力”がすべて。この方は他にもたくさんの作品を応募されていて、どれもレベルの高い作品を応募されていました。その中でいちばん作品力を感じました。リアルな人物写真かどうかは不明ですが、1灯でライティングされた暗闇に浮かぶ顔。シンプルな画面構成と合成された森の画像が、民俗的な彫刻のような美しい作品になっていて、作者の力量を感じます。

<川嶋 なぎさ 様>
タイトルの「Face Time」とは、「face to face」的な意味と捉えればいいのだろうか?その意味は、あらためて作者に聞いてみたいと思うが、私はこの作品から、デジタルな時代にありながら人が誰しも根底に持つアナログ感を感じた。さらに、たくさんの言葉も浮かんだ。記憶、時間、混沌、希望、瞑想、悲しみ、予感、、、、。見る人それぞれが想像を膨らますことができるところも、この作品の素晴らしさであろう。また、この作者はほかにも何点かの作品を応募されていた。リアリズムから創作的な写真まで、全ての写真に言えるのは、オーセンティックでありながら、独自のタッチを確立しているということ。今後も機会があればたくさんの作品を見せていただきたいと思う。

<鈴木 敦詞 様>
暗闇の中に浮かび上がる人の顔、そこに転写された有機的なパターンを感じさせる映像。コロナ禍の影響なのか、自然とは、そして生物とは、私たちを取り巻く様々な要因により引き起こされる心理的な変化を作品から感じ取ることができる。作者の映像への探究心とセンスの良さに感心する。

<村上 心 様>
ペルソナとアニマ/アニムス、擬人化される神と自然神、ロボット・プルーフが要求される未来、などという、人間という存在を取り巻く、対称化される思考を映像化したとも解釈できる、哲学的作品である。結果として、鑑賞する者に、多様な感覚と解釈を呼び起こす、優れた能動性が評価できる。鑑賞者各々の感覚と解釈は、鑑賞者の内面を写しとる心の画像となるであろう。

 

HP準グランプリ_ハシモトテツヤ_街のトリコロール

準グランプリ [街のトリコロール]

テツヤハシモト 様

【受賞者コメント】
このようなハイレベルなフォトコンテストにおいて、私の作品が準グランプリに選ばれたことを大変嬉しく思っています。
今回選出していただいた作品をご覧になった方からは、「都会って、街の風景もお洒落ですね」とか、「海外で撮影した作品ですか?」などの感想をいただいたのですが、これは岐阜市の郊外、北方町で撮影しました。
意識しなければ素通りしてしまうような場所でも、カメラを持っていると発見できる美があります。
この作品に写っている場所は撮影スポットというわけではなく、何ら特別な場所でもありません。
普段からカメラを持ち歩きスナップ撮影する中で、たまたま気づき、切り取った風景です。
コロナ禍で外出もままならない日が続き、思ったような撮影ができない方も多いと思いますが、身近な場所にも被写体は沢山あります。
こんな状況であっても、見過ごされがちな美を見つけるためにカメラを持ち、皆様のフォトライフが充実したものとなることを願っています。

【審査員より】
<吉田 宗義 様>
カメラを持って街を歩き、何気ない風景を絶妙な構図で切り取るのは、写真の醍醐味のひとつ。歩道橋から見下ろした、歩道橋の黄色、自転車通路の青、アスファルトの赤、交差矢印の白がバランスよく配置されていて、気持ちのいい作品になっています。ただ僕が惜しいと思った点は、微妙に自転車の位置とほんの少し色の抜け(特に黄色)がいいとワンランクアップしたのかもしれません。

<川嶋 なぎさ 様>
街の風景でありながら、色や形の絶妙な構成でデザイン的にとても印象に残る作品に仕上がっている。さまざまな直線、曲線によるリズミカルな構成、赤、黄、青の3色のバランスの良い差し色。今年他界された写真家奈良原一高氏が、若かれし頃、身近な東京の風景をモダンな構図で切り取った、そんな写真を想い出させてくれた。

<鈴木 敦詞 様>
アスファルトに鮮やかな色とサイン、あらためて写真は瞬間のグラフィックなのだと思わせてくれる写真。記号に溢れた街の中を洒落た絵づくりで表現している。画面構成も心地よく、眺めていて飽きることのない写真。機会があれば組み写真でも見てみたい気がする。

<村上 心 様>
「普通」の街を軽やかに切り取った秀作である。アートやデザインにとって「普通」であることは、究極の価値でもある。その価値を強調すべく、原色三色とモノトーンによる構図を定めた作意は、作者の並々ならぬ感覚の良さを示している。アンプラグドのギター一本で勝負するシンガー・ソング・ライターのヒット曲のようだ。

 

HP出_審査員特別賞_弓場光彩_緊張と弛緩

審査員特別賞 [緊迫と弛緩]

弓場 光彩 様

【受賞者コメント】
この度は審査員特別賞をいただき有難うございました。
普段は音楽シーンや都市風景を撮っていますが、コロナ禍中に以前から興味のあった「目」の撮影に挑戦しました。新しく踏み出した一歩を評価していただけて本当に光栄です。
個人的に紙というものに愛着があり、殊更写真においては紙に出すことが大きな意味を持つと思っています。ですから今回の受賞および展示は格別に嬉しいものでした。
これからも多くの人の目に触れる活動を益々続けていきたいと強く思います。

【審査員より】
<吉田 宗義 様>
迫力のある作品です。1次審査では目の上の方が画面から切れているのがどうかな?と思っていましたが、審査を進めていくうちにそれがかえってよく見えてきて、結果最後まで残った作品。このような作品は当たり前に目を引きますが、切り取り方を間違えると、どこかで見たような作品になってしまう。この作品はカッコいい作品であり、いい意味でズルい作品でもある?

<川嶋 なぎさ 様>
まずこの写真を見た時、吸い込まれそうな気持ちになった。ただ目を大きく撮影すればそうなるというものでもないであろう。水晶体の奥の奥まで光が届いているような透明感が、それを感じさせるのだと思う。私には、はっとするほどの緊張感がストレートに伝わってきた。

<鈴木 敦詞 様>
視神経に触れるような緊張感、写真をみると一瞬ドキッとした感覚を覚える。何よりも先に観る人の身体的な反応が先にくるのが面白い。視線の先の対象が何なのか、弛緩は安堵をもたらしてくれるものなのか、気になる。

<村上 心 様>
呼吸の吸う吐く、仕事と遊び、光と闇。我々自身とそれを取り巻く環境は、作品タイトルにあるように「緊迫と弛緩」の繰り返しである。写真が、瞬間を切り取る作業であり、この繰り返しを克明に説明することは至難の技であるから、「どの瞬間を切り取るのか」が先ずは最重要な決定事項となる。その意味では、例えば桂枝雀が言う「緊張を緩和させた瞬間」が面白い切り取りになる可能性もあろう。この作品は、やや緊張に寄り過ぎた印象が否めないが、極限まで眼に寄った作為はとても面白い。

 

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ジェットグラフ賞 [プリズムアーチ]

宗吉 洋介 様

【受賞者コメント】
写真の先進性と可能性があるフォトコンテストに連続入賞したことは、嬉しく、誇りに思っています。
今回の作品は少し前の写真となりますが、どうしても応募したくなりました。
激変する天気の中での撮影で、雨滴がフィルターに付着し、NDフィルターは交換できず、三脚が風に揺れ、奇跡的に撮れた一枚となります。
以前よりレタッチ力もあがり、根気よく丁寧に作り上げました。
ポケモンGOイベントのミッションを早々終わらせ、一瞬の晴れ間に出会った光景となります。
写真は出会うという時、最大の考えが必要ない無我夢中無欲に撮影することができます。
出会いを求め、今後も旅を続けたいと思います。最後に画素数がきつい中、セントラル画材のスタッフの技術力とハーネミューレ紙のクオリティーに称賛を与えたいと思います。
ありがとう。

【審査員より】
<吉田 宗義 様>
まるで絵画の様。中央の小さく写っている人がこの絵を描いたようにも感じます。砂の色、水たまりの色、画面の広がり、奥行きがとても美しくて、観ていてあきる事がなさそう。タイトルが虹をテーマにしていますが、仮に虹がなくても十分作品として成立しそうですね。それにしてもいい時に出会ったものです。

<川嶋 なぎさ 様>
この作品は、偶然居合わせた風景を撮影したものであろうか?そうだとしたら、作者は強運の持ち主である。しかし、私がよく言うのは「偶然も腕の内」ということ。その偶然の出会いを引き寄せたのは、自分の何らかの行動であり(その時そこへ出かけたこともその1つ)、そのタイミングを逃さなかったということも重要なことである。もしこの写真が、後の加工によるものだったとすれば、それは、素晴らしく想像力に富んだセンスの持ち主だと言える。いずれにしても、強く印象に残る風景写真に仕上がっていることはまちがいない。

<鈴木 敦詞 様>
何か縁起のいいことが起こりそうな予感、見る人を幸せにするとても気持ちの良い写真。その場に居合わせていたら誰もがシャッターを押すと思う。水とアーチのバランスも良く素直に良い写真である。

<村上 心 様>
虹がもつ、希望、夢、喜び、といった「正方向」の思考と感情を、とてもストレートに表現した、優れた作品である。この「正方向」を、伸びやかな構図と正方向を意図的に強調した色彩によって、自然に受け止められるように巧妙に表現している。点景としての人影の処理に「正方向」への意識があると、更に作者の意図が強調されたかもしれない。

 

入選

赤松 昌哉 様 ・ 園田 翼 様 ・ 金井 翔平 様

坂本 麻美 様 ・ 伊藤 大地 様 ・ 池田 希美 様

チョモ 様 ・ 鈴木 悦三 様 ・ 牧野 千恵子 様

尾嶋 憲治 様 ・ 山本 究 様 ・ 勝木 繁夫 様

飯田 崇雄 様 ・ u___nn 様 ・ 吉田 元貴 様

篠田 真理子 様 ・ 小幡 三佐子 様 ・ 加藤 昭夫 様

稲葉 豊 様 ・ 斎藤 大人 様 ・ 岡 広樹 様

三浦 雄一 様 ・ 山口 大介 様 ・ KIRIE 様

牛田 和泉 様 ・ 袮々 様 ・ 菱田 萌 様

奧岡 愛絵里 様 ・ 三浦 江梨花 様 ・ ROBERT MILLS 様

 

【総評】

<吉田 宗義 様>
今回は昨年に比べ応募者数が約65%増!東海エリアだけでなく、全国から応募されるようになりました。また、外国人の方も応募されるようになり、セントラルフォトコンテストの知名度もかなり上がって来たようです。
応募作品については、今年は新型コロナウィルスの影響により、外出、県をまたぐ行動を控える状況でしたが、応募者の写真にかける情熱には本当に驚かされました。作品のジャンルも風景、スナップ、モデル、動物などさまざま。ただ、外出が出来なかったらせいか、またPhotoshopなどのスキルが上がってきたからなのか、例年より画像合成に力を入れた作品も多くなったような気がします。これも今を表しているのかもしれません。これからも幅広いジャンルの作品の応募を期待しています。

 
<川嶋 なぎさ 様>
毎年思うことであるが、作品レベルがどんどん高くなっている。正直言って、甲乙を付けるのが難しいほどである。今回も、どれが入選・入賞してもおかしくないと感じるほどだった。ではその中で、私なりに何が決め手になったかと振り返ってみて、「技術」だけでも「見てくれの新しさ」だけでも、心に響かないということを再認識した。一見斬新な絵作りであっても、そこにメッセージを感じられなければ記憶には残らない。テクニックとしては素晴らしくても、過去に見たことがあるように感じるものは、その過去の作品とどうしても比較してしまう。メッセージ性、独創性、それをまとめあげる為のテクニック……、すべてがパーフェクトでなくても、それらを持ち合わせている作品は、見る人の心を動かすことができると思う。

 
<鈴木 敦詞 様>
作品の応募点数が増えたことで質量ともに充実した審査となった。特に今年は見えないものに対する恐怖、また畏怖のような感覚は多くの方が感じていることではないだろうか。表現手法も人の心の内側より生じる問いに対して、世界と対峙している作品に引き付けられた。単写真の持つストレートな力強さ、心地よさ、身体性、写真の持つエネルギーから作者の息づかいのようなものが感じられる作品に惹かれる。またハーネミューレ紙の上質な質感に相応しい作品を選ばせていただいた。

 
<村上 心 様>
本年のコンテストは、新型コロナの影響という特殊条件下にあって、近年最高数の応募を頂いた。加えて、多様な視点と技法の作品があり、審査の議論も白熱し、大変刺激的な期間を過ごさせて頂いた。結果的に、面白い入賞入選作を選ぶことが出来たのではないかと思う。勿論、残念ながら入選には至らなかったものの、優れた多くの作品を、泣く泣く落とさざるを得なかったことも付け加えておきたい。

 


CENTRAL Photo Contest 2020にご出品いただきました皆様へ

全国より多くの素晴らしい作品をこのコンテストにご出品いただきまして

スタッフ一同心よりお礼申し上げます。